楓蔦黄なり

きのう11月3日は、七十二候の第五十四候「楓蔦黄 (もみじつたきなり)」 でした。楓や蔦の葉が色づく頃という意味です。

 

七十二候(しちじゅうにこう)

古代中国で考案された季節を表す方式のひとつ。二十四節気をさらに約5日ずつの3つに分けた期間のこと。

各七十二候の名称は、気象の動きや動植物の変化を知らせる短文になっている。

Wikipedia https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%83%E5%8D%81%E4%BA%8C%E5%80%99

 

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『楓』という字は日本では古来より「カエデ」と読みます。でも七十二候では「もみじ」とよんでいます。

???

かえでともみじって違うの?同じなの? 

 

混乱してきたので調べてみたところ、どうも葉の切れ込みの深いものをモミジ、浅いものをカエデと呼ぶ傾向があるようです。

ですが、分類学的には、どちらもムクロジ科カエデ属で明確な区別はありません。例えばイロハモミジをイロハカエデとよんでみたり。

 

 

『もみじ』という単語の語源は「もみづ」だそうです。

ベニバナなど染料とされた植物を揉み、その色が水に染み出すという意味の「もみづ」(揉み出ず)が、名詞の「もみぢ」になりました。

 

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山形の紅花で染める体験教室のようす

山形まなび館HPより

http://yamagatamanabikan.jp/news/5320

 

 

また、平安時代はイロハモミジ、オオモミジというような植物の種類をあらわす言葉ではなく、草木が色づいていくさま全般を「もみぢ」といい表しました。

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 現在でも、桜紅葉、柿紅葉などカエデ属以外にも使われていますね。

 

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そしてまだまだややこしいことがあります。

日本では「楓」の字を普通”カエデ”とよみますが、本来中国ではフウ科フウ属のフウの木を指します。フウ属の植物はいずれも日本には自生ではありません。

 

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フウ (サンカクバフウ、タイワンフウとも呼ぶ)

 

じゃあ、”カエデ”を表す字はもともとはなんなの?というと、「槭」(せき)という漢字だそうです。生まれて初めてみました。

 

ちなみに英語では、もちろんモミジ、カエデの区別はなく、一般にMaple(メイプル、メープル)になります。


日本植木協会のHPにはびっくりするほどカラフルな色とりどり(白い葉まであった!)の、世界のカエデ画像が載っていましたので、ぜひぜひ見てみてください。

http://www.ueki.or.jp/index.php?itemid=1804&catid=302